平成28年度埼玉県高等学校空手道新人大会は平成28年11月3日(木曜日・祝日)、4日(金曜日)、15日(火曜日)の3日間にわたり、埼玉県立武道館(上尾市)にて開催された。
11月4日朝に発生したJR高崎線の信号システム障害の影響により団体戦の一部が15日に延期されるかたちとなった。延期の上に平日開催となったため、応援に駆け付ける事が叶わなかった保護者の方々も多かったと思うが選手らは日頃の練習の成果を遺憾なく発揮し、引退した3年生の思いを引き継ぎ競技を行った。団体形予選ではシャッター音が響き渡ってしまう程の静寂の中、試合は進んで行った。
女子団体形の決勝トーナメントの成績は演武順に次の通り。浦和西(36.95)、栄北(38.60)、松山女(37.60)、伊奈学園(38.00)、市立浦和(37.00)、深谷第一(37.50)、川越西(37.55)、埼玉栄(38.70)。くじ引きにより8番目の演武となった埼玉栄はアーナンを演武し、38.70の最高得点をマークし優勝。栄北は雲手で勝負に出たが、演武順の妙などもあり僅差で埼玉栄に惜敗。
一方の男子団体形の決勝トーナメントは演武順で、伊奈学園(37.05)、松山(36.90)、立教新座(36.75)、杉戸(37.40)、埼玉栄(38.80)、栄北(38.60)、浦和東(37.30)、進修館(37.35)となりアーナンを演武した埼玉栄が実力を見せつけた。
来年1月14日、15日に開催予定の関東選抜大会統一戦決勝では全国選抜大会に先駆けて初の団体形分解が導入される。埼玉県勢が決勝の舞台に上がることが期待されている。
新チーム初の公式戦となる新人大会。関東選抜出場もさることながら、団体戦レギュラーメンバー入りを目指し、熾烈を極める試合が繰り広げられた。男女ともに決勝戦に駒を進めたのは埼玉栄と花咲徳栄となった。女子団体組手決勝、先鋒の吉村芽衣と宇都木未歩は個人戦決勝において対戦し宇津木が勝利しているが、団体では吉村が意地を見せて1-1で引き分けに持ち込んだ。続く次鋒の高橋萌花は近藤真緒に0-1で惜敗。中堅は丸田実穂と茂木蘭が対戦し2-4で茂木が勝利し、王手をかける。副将戦は竹下綾香と神尾美穂が激突し1-6で神尾が竹下を下し、大将の岡山遥と吉田爽夏を待たずして花咲徳栄が優勝を果たした。
男子団体組手は埼玉栄、花咲徳栄、栄北の三つ巴。決勝の舞台は埼玉栄vs花咲徳栄。今まで幾度となく決勝を戦ってきた両校の意地と意地がぶつかり合った。先鋒の伊藤大地は福田大夢と対戦し4-1で勝利した。
次鋒は嶋田力斗vs山口健太、2-0で嶋田が勝利し徳栄を追い込んだ。中堅戦は阿部絢志と山中豪流が対戦、あとがない山中だったが思い切って飛び込んだ上段突きが極まり1ポイントを先取、しかし勝ちを意識してしまったのか、後の先に転じた山中はコーナーに追い込まれ阿部に1ポイントを献上してしまった。その後は一進一退の攻防で両者引き分け、副将戦へと繋いだ。バトンを受け継いだ大島諒樹と小林宗和、両者の挙動を見ただけで各々が役割を充分に理解した上での一戦であることは明らかだった。やはり先制したのは小林。この時点で星は五分になったと言える。ここからが本当の勝負となる。この辺はまだ経験の少ない新人大会ならではの展開だ。勝ち急ぐ小林の攻撃をかわして大島が1ポイントを返し、1-1へ。守りに入った大島に小林がすかさず攻め込み1-2。そして再び強引に飛び込む小林にカウンターを合わせて大島が2-2の同点とした。残り30秒近くになると時間の経過とともに勝ちを意識し始める両者、互いの技は精彩を欠き、荒々しい試合展開となりC1、C2のペナルティを何度も繰り返す。刻々と時間だけが過ぎ2-2の同点のまま時間終了となり、2勝0敗2分で埼玉栄が花咲徳栄との接戦に勝利した。
個人戦決勝でも対戦した嶋田と山口だったが現時点では嶋田が一枚上手のようだ。しかし新キャプテンとして力を上げて来ている山口の今後にも期待は高まる。団体戦では引き分けが勝利の決め手となる場合が多い。個人戦では判定で不利となるような行為も団体戦では意味合いが違ってくる。また、記録に反映されない態度や攻防によっても試合が大きく左右される場合がある。いずれにしても団体戦にはチームワークが必要不可欠である。夏のインターハイまでに各校がどこまでチーム力を上げられるのか、指導者の腕の見せ所でもある。今大会の結果を失敗とするか、成功への糧とするかは本人次第である。これから更なる成長を遂げる全ての高校拳士の活躍が楽しみである。
平成28年度埼玉県高等学校空手道新人大会
(2016年11月3日、4日、15日 埼玉県立武道館)
《組手》
◆男子個人[優勝]嶋田力斗(埼玉栄)[準優勝]山口健太(花咲徳栄)[第三位]吉田翔太(栄北)/伊藤大地(埼玉栄)
◆女子個人[優勝]宇都木未歩(花咲徳栄)[準優勝]吉村芽依(埼玉栄)[第三位]茂木 蘭(花咲徳栄)/丸太実穂(埼玉栄)
◆男子団体[優勝]埼玉栄[準優勝]花咲徳栄[第三位]浦和実業/栄北
◆女子団体[優勝]花咲徳栄[準優勝]埼玉栄[第三位]栄北/伊奈学園
《形》
◆男子個人[優勝]山中望未(立教新座)[準優勝]佐藤拓海(埼玉栄)[第三位]小和瀬斗真(栄北)
◆女子個人[優勝]小林真由(伊奈学園)[準優勝]三澤可奈(栄北)[第三位]竹下綾香(埼玉栄)
◆男子団体[優勝]埼玉栄[準優勝]栄北[第三位]杉戸
◆女子団体[優勝]埼玉栄[準優勝]栄北[第三位]伊奈学園
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38.80を叩き出した埼玉栄の団体形アーナン
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団体形を締めくくった埼玉栄は38.70で優勝
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男子団体組手は大島諒樹(埼玉栄)が勝利に導いた
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女子団体組手で優勝した花咲徳栄メンバー
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杉戸高校空手道部の皆さん
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伊奈学園総合高校空手道部の皆さん
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正々堂々がモットーの栄北高校空手道部の皆さん